芦北町鶴木山の半島は、
熊本県南部の八代市と水俣市の
中間に位置する八代海沿岸に面し、
海岸線近くまで迫り出した丘からは、
対岸の天草諸島を望むことができる。
遠くギリシャのエーゲ海にたとえられるような
恵まれた海と緑豊かな自然環境をもつ敷地に
青少年の教育環境に対応するよう、
幅広い集団生活・活動・研修を通しての
青少年の育成とともに
県民の生涯学習活動の支援を目的として計画された。
『ふれあいテラス』研修棟3F〜1F
構造、素材、形状を単純化し、敷地の海への傾斜を建物に反映させ、視線を海に向かって確保することを意図した。
建物がウラ返り、広場と階段のかたちをした外部が生じた。
空洞を中心に旋回することになった建築は、ときには海への視覚を切り取ってスクリーンをつくり、時には真夏の直射日光を遮るキャノピーとなり、ときには強風を遮る緩衝壁であり、ときには視界にリズムの活力を与える列柱群となり、あるいは外部へのとめどない拡がりの句読点になるかもしれない。
『和室・洋室宿泊棟、食堂・浴室棟』
芦北の自然環境と親しむという施設の目的を踏まえ、一つの建物にまとめてしまうのではなく、三つの建物(和室宿泊棟,洋室宿泊棟,食堂・浴室棟)に分け、それらの間を渡り廊下で繋ぐこととした。また、急勾配の斜面をもつ敷地のふたつの丘(高さ:+39m,+31m)に各施設を配置し、海側の眺望を確保した。
各施設は周辺環境と連続し、それらに溶け込むようにイメージし、両宿泊棟を長く、しかも地形に優しく馴染みながら屈曲する形として展開し、その上に載る屋根もこれらの自然要素に溶け込むような優しい曲線の連なりとしてデザインした。
■鈴木了二 Ryoji Suzuki (1944年) 日本・東京 早稲田大学教授
■エリア・ゼンゲリス Elia Zenghelis (1934年) ギリシャ・アテネ
■エレ−二・ジガンテス Eleni Gigantes (1954年) インド・ニューデリー
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